安いバス代と事故の関係性

夏の暑さも収まりつつあり、過ごしやすい日がちらほらとございますね。

ですが未だに暑さが尾を引いておりますので熱中症には十分にご注意ください。

 

さて今回は、

「安いバス料金と事故の関係性」についてです。

 

皆様のご記憶にも新しい「軽井沢のスキーバス転落事故」

2016年に乗客乗務員41人中、乗客13人、乗務員2人が死亡。1人が重体、24人が重軽傷を負った、ここ30年で最悪のバス事故です。

この事故の背景は当時の報道によりご存じの方も多くいらっしゃることでしょう。

・当時のバスの運行指示書には出発地と目的地しか示されてなく、運転手が道に迷ったのでは。

・居眠り運転だったのではないのか。

 

多くの注目すべき点がございますが、一番注目すべき点は「安いバス代」と私は考えます。

私もご利用者さんの立場だと「安く済ませたい」と思います。

ですが、安いのにはワケがあります。

 

現在バス料金は、国土交通省より定められている「運行時間と走行距離にそれぞれの単価を乗算した金額を足して、消費税を加えた金額」となります。

運行時間:実走時間+待機時間+回送時間+点検+整備2時間 走行距離:実走距離+回送距離

各運輸局より時間制運賃とキロ制運賃の単価(上限額・下限額)が設定されており、各事業者が運行に応じて適正価格内にてバス料金を算出します。

 

わかりやすく説明すると、全てのバス会社が同じスケジュールの運行を下限単価で見積りした場合、乗車地に一番近い場所に営業所がある会社が一番安いわけです。

これはその会社から乗車地までの回送時間と回送距離が一番短いからです。

ただ、下限単価でお仕事ができるほど今の日本のバス業界は豊かではありません。

そのために各バス会社が法令順守にて価格を設定しています。

 

ここまでが前振りです(笑)

 

昨今のバス業界は規制緩和により新しくバス事業に参入する事業者が増え、価格競争が行われ、全体的にバスの料金がとてつもなく安くなりました。

そうしなければ自分たちの仕事がなくなるからです。

安くしたことで、乗務員の給料や車両整備に対するコスト、事務管理費用・乗務員教育などをカットせざるを得ない状況となり、冒頭で述べた「軽井沢のスキーバス転落事故」の事故起因となったわけです。

 

この「軽井沢のスキーバス転落事故」や2012年の「関越自動車道での事故」を受け、国が適正な方針・基準を制定し現在の枠組みができたわけです。

 

しかし!!

バス事業者や旅行会社の中には、未だに「下限割れ料金」にて仕事を取ろうと悪い考えのところがあります。

これではまたいつか大きな事故が起こり得るのです。

 

バスをお選びの際は、「すごく安いバス料金で見積りに運行時間運行距離の明記がない場合」 には十分お気を付けください。

一時の安いからという理由でそんな会社を選んでしまうと、あなたやその後に利用した人が事故にあってしまうかもしれません。

 

ご旅行でバスをご利用の際は、「見積りに運行時間・運行距離の明記がある」バス会社選びをオススメします。